不妊治療コラム—卵子について—

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と漢方

 

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵巣を超音波で検査したときに10mm以下の

小さな卵が数珠状に多数並んで見えることから❝ネックレスサイン❞と呼ばれています。

ホルモン値はFSH〈 LH となり、

卵胞が発育するのに時間がかかり、なかなか排卵しないため、

月経不順、あるいは無月経、無排卵性月経となります。

中医学的な観点では、原因として

痰湿・腎虚・脾虚・肝鬱・瘀血・鬱熱がみられます。

この中の一つだけが原因となっているのではなくて

例えば腎虚、瘀血、脾虚が複雑に絡み合ってPCOSとなっています。

 

以前は痰湿が主となった方が多かったですが、

最近は虚証タイプが多くみられます。

 

体外受精で良いグレードの受精卵ができても、虚があるために力不足で着床しないことが多いです。そのような場合は虚を補うことで着床しやすくなり、

妊娠持続もパワーがいるので、虚を補うことで流産防止となります。

排卵しにくいのは、卵胞が小さすぎるということもありますが、卵胞の表面硬いことも原因です。

 

卵子の表面が硬いのは東洋医学では瘀血です。

 

瘀血を取り去る漢方薬をその方の原因と思われる漢方薬と一緒に使うと生理周期が短くなり、排卵することが症例でも多くみられます。

排卵誘発剤でもなかなか排卵しない場合も同じようにスムーズに排卵するようになります。

瘀血を取り去ることは、多嚢胞性症候群の方に有益に働く以外に着床・良卵と妊活においてすべてに効果が高いです。

症状が軽い方だと、瘀血を取り去る漢方と補血をするだけで、月経が安定して、妊娠されます。

また、月経は安定しているが、LHの値だけ高い方は、

東洋医学での『肝』を整えることでよい結果にむすびつきます。

 

 

次に、多嚢胞性症候群(PCOS)は、インスリン抵抗性(HOMA-R高値)と関係性があり、インスリン抵抗性よる排卵障害にはクリニックではメトホルミンを使用します。

インスリン抵抗性を悪化させる要因としでは、睡眠の質の低下がありますが、

他にも睡眠の質が低下することで、卵子の質も下がります。

夜ぐっすりと眠ることは、インスリン抵抗性の改善と卵子の質を上げることになります。

 

 

安眠作用のある漢方薬や自律神経のバランスをとる漢方薬、脳の過剰な活性酸素をとるサプリメントは、それぞれ睡眠の質をあげることができます。

PCOSの原因は一人、一人違います。

その原因に合った改善方法に対応できることが東洋医学のいいところだと思います。